飲食店の来店動機を作るには?選ばれる理由の設計方法を解説

お客様が「この店を選ぶ」を作る、来店動機の見える化と接点設計

【この記事のポイント】

飲食店の来店理由は、フォロワー数や派手な仕掛けではなく「ウリ・情報・導線」をどう揃えるかで決まります。

本記事では、偶然立ち寄ったラーメン店が“わざわざ行く店”に変わった事例や、入りづらかったビストロに足を踏み入れた瞬間の話を交えながら、来店理由を設計する具体的なステップを紹介します。

今日のおさらい:要点3つ

  • 来店動機は「偶然・紹介・計画的リサーチ」の3つに分けて設計すると抜け漏れが減ります。
  • 来店理由の上位は「お得感」「ここでしか食べられない」「接客の良さ」「クーポン」で、価格だけでは差別化しきれません。
  • 来店後のリピート理由は約70%が「料理」、約48%が「コスパ」で、再訪の仕組みを設計すると売上の約8割を占めるリピーターを増やせます。

この記事の結論

一言で言うと「来店理由は“ウリ×情報×導線”で作る」です。

最も重要なのは、「なぜこの店を選ぶのか?」を3秒で言語化できる一言を先に決めることです。

失敗しないためには、「偶然」「紹介」「検索」それぞれのルートで、その一言がちゃんと伝わる接点(外観・口コミ・SNS・予約ページ)を揃えておくことです。

お客様が来店を決める3つのパターンを分解する

来店動機は「偶然・紹介・計画的リサーチ」の3タイプ

飲食店の来店動機は、大きく分けて3つのタイプに整理できます。

  • 偶然の来店(機会来店):たまたま通りかかって入る
  • 口コミ・紹介による来店
  • 計画的なリサーチ型の来店(目的来店)

レストランスターの解説でも、来店動機をこの3タイプに分けて考えることで、施策の打ち方が明確になると説明されています。さらに、日経レストランの調査では、初めて利用する店を選ぶ主な理由として「クチコミ」「偶然のきっかけ」「検索結果」が高い割合を占めており、この3タイプを押さえることが“初回来店”を増やす最短ルートだとわかります。

一方で、半年間に複数回来店した店がある人は76.9%、飲食店利用のうち約77%がリピートという調査もあり、「一度選んでもらった後に、どう理由を積み重ねていくか」が売上の安定には欠かせません。正直なところ、新規だけを追いかけ続けるのは、広告費と人手の面で消耗戦になりがちです。

来店理由トップは「料理」と「料金」、でも本音はそれだけではない

ぐるなびやホットペッパー外食総研の調査では、「リピート利用する店の重視点」として「料理がおいしい」が69.6%、「料金がリーズナブル」が45〜48.6%で上位に挙げられています。つまり、来店理由の軸は結局「料理×価格」なのですが、ここだけで戦うと、近隣の競合と価格競争に巻き込まれやすくなります。

一方で、ぐるなびの外食意向調査では「お得感がある」「接客・サービスがよい」「クーポンや割引券」「その店でしか食べられないメニュー・味」が“利用したい店”の上位理由として挙げられており、「得した気分」「ここだけの体験」「人の温度」が選ばれる理由を後押ししていることがわかります。実は、この“後押しの部分”はチラシやサイトの一言、スタッフの声のかけ方で大きく変えられる領域です。

【実体験1】「家から近い」だけのラーメン店が“わざわざ行きたい店”に変わった話

個人的な話をひとつ。自宅から徒歩5分の場所に、昔ながらのラーメン店があります。最初の来店理由は、本当に単純でした。「雨だし、ここでいいか」。スマホで検索するのも面倒で、傘を片手に、店の灯りだけを頼りにふらっと入った夜です。

その店に通う中で、ある日、店主が「うちはチャーハンから食べてほしいんですよ」と笑いながら教えてくれました。よくあるのが、ラーメンの“ついで”にチャーハンを頼む流れですが、そこでは「チャーハンが主役」という逆転のコンセプトでした。実際、半チャーハンを一口食べたとき、油の香りとパラッとした食感に、思わず箸が止まりました。

それ以来、私の来店理由は「雨だから近い」ではなく「今日、あのチャーハンを食べたい」に変わりました。価格はセットで1,000円前後と決して安くはありませんが、「ここでしか味わえない」という感覚が上乗せされることで、多少の値上げがあっても通い続けています。ケースによりますが、“家から近い”という偶然の来店も、「ここでしか食べられない体験」を一つだけ作ることで、わざわざ行く理由に変えられると感じた出来事でした。

選ばれる理由を「設計」する3ステップ

ステップ1:来店理由を「一文」にする(ウリの言語化)

飲食店マーケティングの専門記事では、「飲食店における差別化戦略」として、まず自店の“ウリ”を明確にすることが最初のステップだと解説されています。ここでいうウリとは、「安い」「おしゃれ」といった広すぎる言葉ではなく、「平日は一人で静かに飲めるカウンターが空いている店」など、具体的なシーンまで含めた一文です。

実際、IPROSの専門解説でも、競合の増加・価格競争の限界・顧客の比較力向上を背景に、「記憶に残る体験」を軸に差別化を図る必要性が指摘されています。正直なところ、「うちには特別なウリなんてない」と感じる店がほとんどですが、常連さんに「なんでうちに来るんですか?」と聞いてみると、「駅から近いから」「店員さんが覚えてくれてるから」など、本人が気付いていない理由がポロっと出てくることが多いです。

現場の声(会話イメージ)

  • 店長「うちは普通の焼鳥屋ですよ。特徴なんて…」
  • 常連さん「いやいや、“21時過ぎても一品作ってくれる店”ってなかなかないよ?」
  • 店長「あ、そこなんですか?」

この一言が、その店の来店理由になります。「終電前でも一品だけつまんで帰れる焼鳥屋」。それなら、メニュー表やSNSのプロフィールにも、同じ言葉をそのまま載せた方が、伝わりますよね。

ステップ2:3つの来店パターンごとに「接点」を設計する

来店動機を「偶然・紹介・計画的リサーチ」に分けると、それぞれで設計すべき接点が変わります。

  • 偶然(通りがかり)
    • 外観、看板、店頭POP、店先の香り
  • 紹介(口コミ・SNS)
    • お客様の投稿しやすさ、写真映え、会話のネタになる一品
  • 計画的リサーチ(検索・予約サイト)
    • Googleマップ、グルメサイト、SNS、公式サイトの情報

レストランスターのコラムでは、来店動機を左右する決定要因として「独自のウリ」「WebやSNSの情報整備」「視認性と店舗の存在感」を挙げています。また、ぐるなびのデータでは「自宅近く」「職場近く」といった立地の要素もリピート理由として上位ですが、外観設計や店頭の見せ方で「この店、入ってみたい」と思わせることが初回の偶然来店を増やすと指摘されています。

実は、ここでよくあるのが「Webだけ頑張って、店頭はそのまま」という状態です。検索して期待値を上げてから店頭まで行ったのに、看板が暗くて入り口が分かりづらいと、その瞬間に候補から外れてしまいます。

【実体験2】「いつも満席そうで入りづらい」店に、ある日ふっと入れた瞬間

もう一つ、個人的な体験を。職場近くに、いつもガラス越しに人が入っていて「なんとなく入りづらい」小さなビストロがありました。毎日のように店の前を通るのに、扉を開けることができないまま半年ほどが過ぎました。

ある雨の日、いつものように店の前を通りかけると、看板に小さく「本日、20時までお席に余裕があります」とチョークで書かれていました。その一言を見た瞬間、心の中で「今ならいけるかも」と勝手に言い訳が立って、気付けば扉を引いていました。

その日の帰り道は、いつもより少し足取りが軽かったのを覚えています。「あの店、意外と一人でも入れるんだ」という発見が、次の来店理由になりました。ケースによりますが、「満席感」を演出している店ほど、あえて“入りやすさ”を伝える一文を足してあげるだけで、新規のハードルがぐっと下がると実感した出来事でした。

来店後の「また来たい」を設計する

リピートは売上の約8割、「料理×コスパ」が軸

ホットペッパー外食総研の調査では、飲食店の利用のうち「リピート利用」が77.3%、「初回利用」が22.7%という結果が出ています。また、「また行ってみたい店」を選ぶ理由として、「料理がおいしい」が69.6%、「コストパフォーマンス」が48.6%と突出しており、YsLinkのアンケートでも「料理・メニュー」がリピート理由のトップ(27.5%)でした。

ぐるなびの別調査でも、2024年の比較調査でリピート理由の上位が「食べたい料理がある(49.4%)」「料金がリーズナブル(45.0%)」「行きやすい立地(36.2%)」となっており、「この店といえばコレ」という一皿×納得感のある価格が、再訪を支えています。正直なところ、特別なマーケティング施策を打つ前に、「また食べたい一品」が明確かどうかを棚卸しするだけで、来店理由の設計は半分以上済んでしまいます。

販促メッセージの「一言」が来店率3.88%を左右する

LINEやメールなどで配信される販促メッセージは、「来店理由をその場で作る一言」です。74万件超のメッセージを分析した調査では、配信後の平均来店率は3.88%で、業態によっては焼肉で17.06%という高い来店率を記録しています。同じ3.88%でも、100人に送れば3〜4人が動く数字であり、メッセージの内容次第で売上に直結します。

ここでよくあるのが、「ランチやってます」「新メニュー出ました」とだけ送ってしまうパターンです。来店率の高い店舗は、メッセージの中に必ず「今行く理由」を入れています。

  • 「本日限定でドリンク1杯無料」
  • 「雨の日サービスでデザートサービス」
  • 「LINE会員限定、金曜夜だけの裏メニュー」

PR TIMESで紹介されている調査でも、メッセージ内容や業態によって来店効果に大きな差が出ており、単なるお知らせではなく“来店の口実”を作ることが重要だと示されています。実は、お客様も「行きたいな」とうっすら思っているタイミングに、「これを口実にしていいよ」と背中を押してもらうのを待っているのかもしれません。

顧客データとアンケートで「来店理由を見える化」する

レストランスターのコラムでは、来店動機を見える化する方法として、アンケート設置・SNSやレビューの分析・会員データの分析の3つを挙げています。例えば、「初回来店客は金曜の夜が多い」「2回来店した人の平均単価は○円」といったデータを可視化することで、特定の曜日や時間帯に絞った施策を打てるようになります。

さらに、顧客データ活用の解説では、属性や嗜好を分析することで、「いつ・どんなメッセージを送れば次の来店理由になるか」を設計できるとされています。顧客データで「3か月以上来ていない人」を抽出して、「今日は○○が食べたくなったときに思い出してほしくて…」と一言添えるだけでも、反応が変わります。山手線のように何度も回ってくるお客さまのタイミングを待つのではなく、こちらから“駅の案内板”を出しにいくイメージです。

よくある質問

Q1:来店理由は価格と味のどちらを優先すべき?

A1:調査では「料理」約70%、「コスパ」約45〜48%と両方重要ですが、まずは「また食べたい一品」を作る方がリピートに直結します。

Q2:新規来店とリピート、どちらを重視した方が売上が伸びますか?

A2:利用の約77%がリピートというデータがあり、新規よりリピートを増やす方が集客コストを抑えつつ売上を安定させやすいです。

Q3:来店理由を作るために最低限やるべきことは?

A3:「ウリの一文化」「外観・Web・SNSの情報統一」「来店後の再訪のきっかけ(クーポン・裏メニューなど)」の3つを揃えるのが最低ラインです。

Q4:クーポンに頼りすぎると値下げ競争になりませんか?

A4:ぐるなびの意向調査でも「お得感」や「クーポン」は重要ですが、「ここでしか食べられない」が同時にある店ほど、値引き依存から抜け出しやすいです。

Q5:LINEやメルマガの配信頻度はどのくらいが適切ですか?

A5:74万件のデータでは平均来店率3.88%とされ、週1〜月2程度でも来店に結び付くため、「内容の質>頻度」を意識するのがおすすめです。

Q6:小さな個人店でも顧客データの分析は必要ですか?

A6:簡単な来店記録や会員データだけでも、「誰がいつ来ているか」が分かると、来店のタイミングに合わせた一言が出しやすくなります。

Q7:立地が悪い店は来店理由で挽回できますか?

A7:立地は重要ですが、「目的来店」の比率を上げることでカバーしている事例も多く、「その店でしか体験できない理由」を設計できれば戦えます。

Q8:口コミを増やすにはどうしたらいいですか?

A8:紹介来店は「驚きや感動、共感を呼び起こす体験」がきっかけになり、写真に撮りたくなる一皿や、思わず話したくなる接客が口コミを誘発します。

Q9:来店理由の設計は一度作れば終わりですか?

A9:調査やアンケートを定期的に見直し、来店理由をアップデートしていくことが大切で、年1回は「今のお客様の決め手」が変わっていないか確認したいところです。

Q10:他店を参考にして真似するのはアリですか?

A10:他店の成功事例は参考になりますが、そのまま真似ると比較されてしまうので、「自店の客層や立地に合わせて調整する」前提で取り入れるのが安全です。

まとめ

来店動機は「偶然・紹介・計画的リサーチ」の3タイプに分かれ、それぞれに対して“選ばれる理由”を設計することで、新規の取りこぼしを減らせます。

リピート利用は全体の約77%、「料理」と「コスパ」が主な決め手であり、「また食べたい一品」と納得できる価格設定が、安定した売上の土台になります。

販促メッセージの平均来店率3.88%というデータが示す通り、「今行く理由」を一言添えるだけで数字は変わり、顧客データやアンケートで来店理由を見える化すると、施策の精度が一段上がります。

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