飲食店の利益改善はどこから?すぐできる見直しポイント
4つのレバーと3か月単位の見直しで、忙しいのに残らない店を変える方法
【この記事のポイント】
飲食店の利益は、「売上を増やす」よりも「すでにある仕組みのムダを整える」ことで先に動かせます。
本記事では、月商300万円で“忙しいのに残らない”状態だったカフェや、看板ランチを100円値上げして来店が落ちなかった定食屋の事例を交えながら、現場負担を増やさずに利益率を上げる手順を紹介します。
今日のおさらい:要点3つ
- 利益は「売上−(原価+人件費+固定費)」で決まり、“売上だけ”を増やそうとすると現場が先に限界を迎えます。
- メニュー構成・在庫と仕入れ・客席と回転率・人件費のかけ方など、“すでにある仕組み”を少し変えるだけで、利益率は数ポイント変えられます。
- 正直なところ、完璧な改善計画より、「どこから手をつけるか」を決めて、3か月単位でひとつずつ潰していく方が現実的です。
この記事の結論
一言で言うと「利益改善は“売上より先に、原価・人件費・オペレーションのムダ”から攻める」です。
最も重要なのは、「1.メニューと原価」「2.在庫と仕入れ」「3.人件費とシフト」「4.席数と回転率」を順番に見直し、数字と現場感の両方で“効いているか”を確認することです。
失敗しないためには、「いきなり値上げだけする」「スタッフを減らして回そうとする」「改善の前後で数字を見比べない」の3つを避けることです。
どこから利益を改善するか?全体の考え方
利益は「4つのレバー」で決まる
飲食店の利益はシンプルに言うと、
- 売上(客数×客単価)
- 原価(食材・飲料)
- 人件費(時給・労働時間)
- その他の経費(家賃・光熱費・広告など)
のバランスで決まります。
よくあるのが、「売上が足りないから、もっと集客しよう」という発想です。でも、
- 原価率が35〜40%でロスも多い
- 人件費率が35%を超えている
- 席数や回転率にムダがある
状態で売上だけ増やすと、「忙しいのにお金が残らない」という状態になりがちです。
正直なところ、最初の3か月は「売上を増やす」前に、「同じ売上でどれだけ利益を増やせるか」を試した方が、現場にも財布にも優しいです。
【実体験1】月商300万円で“忙しいのに残らない”カフェのケース
あるカフェでは、月商300万円前後で推移していましたが、店長は毎月の締め作業のたびに肩を落としていました。
「こんなに忙しいのに、手元に残るのは本当に少しだけで…」
ざっくり数字を出してみると、
- 原価率:約35%
- 人件費率:約32%
- 家賃・光熱費など固定費:約20%
合計で約87%が出ていき、利益は13%ほどでした。
そこで、いきなり集客ではなく、
- メニューの原価と売価の見直し
- ランチの仕込み量の調整(ロス削減)
- シフトと動線の見直し
から始めました。半年後、売上自体は310〜320万円程度と少し増えた程度でしたが、
- 原価率:32%前後
- 人件費率:29%前後
まで下げられ、利益率は約5ポイント改善しました。
月15万円前後の利益改善。年間にすると約180万円です。「あのとき、むやみに宣伝にお金をかけなくてよかった」と店長がぼそっと言ったのを覚えています。
すぐできる利益改善の見直しポイント
1. メニューと原価の“バランス”を整える
利益改善で最初に見るべきは、メニューと原価です。
- 原価率の高いメニューばかり売れていないか
- 原価率が低くて利益の出やすいメニューは、きちんと売れているか
「売れているメニュー」と「儲かるメニュー」が一致していれば理想ですが、現実はズレていることが多いです。
よくあるのが
- 昔からの看板メニューが、値上げできずに原価が重い
- ドリンクの価格が安すぎて、フードだけで利益を出そうとしている
- ランチのセットがサービスしすぎている
といった状態です。
ここでの行動ポイントは、
- メニュー別にざっくり原価率を出す(ぴったりでなくてOK)
- 原価率が40%を超えているメニューは、価格か内容の見直し候補にする
- 原価率20〜25%程度のメニュー(ドリンク・サイドなど)は、“おすすめ”やセットに組み込む
正直なところ、すべてのメニューをいじる必要はありません。まずは「出数が多い上位5〜10品」だけでも見直すと、全体の利益が変わります。
【実体験2】「看板ランチ」を100円値上げして、それでも来店が増えた定食屋
ある定食屋のランチは、長年「日替わり定食900円(税込)」でした。材料費と光熱費の高騰で、原価はじわじわ上がり、気づけば原価率が40%近くになっていました。
店主は「値上げしたらお客さんが来なくなるんじゃないか」と何年も迷っていましたが、ついに1,000円(税込)に踏み切りました。
ただ値上げするのではなく、
- 小鉢を1品増やす
- ご飯のおかわり無料を明記する
- 入口に「品質維持のため、価格を見直しました」という短いメッセージを出す
という工夫をしました。
結果はどうだったか。
- 来店数:ほぼ変わらず
- 客単価:当然上がる
- 原価率:数ポイント改善
1か月後、店主はこう言いました。
「実は、値上げの告知をした日が一番怖かったです。でも、“これなら全然いいよ”と言ってくれる常連さんが多くて、肩の力が抜けました」
すべての店で同じようにいくとは限りませんが、「理由と価値をセットで伝える値上げ」は、利益改善の強力な武器です。
2. 在庫と仕入れで“ロスと寝かせたお金”を減らす
在庫は、「まだ売れていない現金」です。冷蔵庫や倉庫の奥で眠っている食材は、そのまま「使っていないお金」になっています。
すぐできるポイントは、
- 冷蔵庫・冷凍庫の“定位置”を決めてラベルを貼る
- 週1回だけでも、ロス(廃棄・まかない)の内容を書き出す
- よく出る食材と高価な食材だけでも、日次でざっくり残量を見る
よくあるのが、「安いから」と大きなロットで仕入れてしまい、結局使い切れずにロスを出すパターンです。
実は、「単価は少し高くても、小ロットでこまめに入れてくれる仕入れ先」の方が、トータルでは得になることも多いです。
少し時間をかけて取り組む改善ポイント
3. 人件費とシフトの“谷と山”を整える
人件費は、売上に対して25〜30%前後を目安に考える店が多いですが、業態によっての差はあります。大事なのは、「売上が少ない時間に人を余らせていないか」「忙しい時間帯に人が足りなすぎないか」です。
よくあるのが、
- 開店から閉店まで同じ人数で回している
- ランチのピークとアイドルタイムのシフトがほぼ同じ
- 仕込みと営業を同じ人員で重ねてしまう
という状態です。
ここでのポイントは、
- 1日の売上推移(時間帯別)をざっくりでいいので書き出す
- 「売上の山」に合わせて、人の山をつくる
- 仕込み専用の時間帯(または人)を決める
ケースによりますが、「ピークの2時間に集中して人を入れ、アイドルタイムを2人体制にする」だけでも、人件費率は数ポイント変えられます。
4. 席数と回転率で“取りこぼし”を減らす
売上を増やすには、「客数×客単価」です。客数は、「有効席数×回転率」に分解できます。
- 2人客が多いのに、4名テーブルばかり
- 一人客用のカウンターが少なく、2人席を一人で使っている
- ピークタイムに「満席と言いながら、見た目には空席が多い」
こうした状態だと、もったいないです。
レイアウトを大きく変えなくても、
- 4名席を2名席×2に分割できるようにする
- カウンターを増やす
- 奥の席を長時間利用ゾーン、手前の席を回転重視ゾーンにする
といった工夫で、「同じ面積で入れる客数」を増やせます。
正直なところ、これは内装コストとの相談もありますが、「配置換えだけで変えられる範囲」も意外と多いです。
よくある質問
Q1:利益改善は売上アップとコスト削減、どちらから始めるべき?
A1:ケースによりますが、多くの店は「原価・人件費・ロス」といったコスト側の見直しから始めた方が、現場負担が少ない形で利益を改善しやすいです。
Q2:原価率は何%くらいが理想ですか?
A2:業態にもよりますが、一般的な目安は30%前後です。看板メニューは高めでも構いませんが、全体でバランスが取れているかが重要です。
Q3:値上げが怖くて踏み切れません。どう考えれば?
A3:値上げだけでなく、内容やサービスを少し足したり、「品質維持のための価格改定」であることをきちんと伝えることで、受け入れられやすくなります。
Q4:人件費率の目安はどれくらいですか?
A4:多くの飲食店では25〜30%台を目標に置くことが多いですが、立地や営業時間、オペレーションによっても変わります。
Q5:ロスを完全になくすのは現実的ですか?
A5:完全ゼロはほぼ不可能です。まずは「何でロスが出ているか」を見える化し、よく出るラインだけでもロス率を数ポイント下げることを目標にするのが現実的です。
Q6:広告費をかけるなら、どのタイミングがいいですか?
A6:原価や人件費、オペレーションの大きなムダをある程度整えてからの方が、“来てくれたお客様”を利益につなげやすくなります。
Q7:利益改善とスタッフのモチベーションは両立できますか?
A7:できます。「削る」だけでなく、「売れたら嬉しいメニュー」「がんばりが給与や評価に反映される仕組み」を一緒に設計することで、両立しやすくなります。
Q8:小さな個人店でも、ここまで細かく見る必要がありますか?
A8:細かいシートやシステムは不要ですが、「出数の多いメニュー」「高価な食材」「ピークの時間帯」だけでも数字で把握しておくと、感覚とのズレを減らせます。
Q9:利益改善と値上げ、どちらを先にするべき?
A9:原価やロス、人件費のムダを見つつ、「それでも厳しい」と判断できたタイミングで値上げを検討する方が、お客様にも説明しやすくなります。
Q10:一人で全部を見るのが億劫です。
A10:全部を一度にやる必要はありません。まずは「今月はメニューと原価」「来月は在庫と仕入れ」というように、1テーマずつ進めるのがおすすめです。
まとめ
飲食店の利益改善は、「売上を増やす」前に、「原価・在庫・人件費・席数」の4つを見直すことで、同じ売上でも手元に残るお金を増やすことから始めるのが現実的です。
メニュー上位の原価率見直し、ロスの見える化、ピークタイムに合わせたシフトと席配置の調整といった“小さな修正”の積み重ねで、利益率は数ポイントずつ改善できます。
正直なところ、一気に完璧を目指すより、「3か月で1テーマ」に絞って改善する方が続きやすく、半年〜1年後の決算書と現場の空気に、じわじわと違いが出てきます。
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