飲食店の販促カレンダーはどう作る?年間の集客計画
飲食店の販促カレンダー・年間計画の立て方
【この記事のポイント】
年間の販促は「思いついた月にやる」ものではない。1年を一望できる1枚のカレンダーに、繁忙月と閑散月を先に色分けするのが出発点だ。決めるのは「いつ・何を・いつから仕込むか」。歳時記やイベントは当日から逆算し、告知は最低2〜3週間前、仕込みはさらに前倒しで置く。閑散月にこそ手を打ち、繁忙月は取りこぼしを防ぐ。行き当たりばったりの販促は、忙しい時に慌て、暇な時に何もしない状態を生む。年間で見れば、打ち手のタイミングは驚くほど前にある。
大事なのは、販促を「点」でなく「線」で置くこと。クリスマスや歓送迎会は、当日ではなく1〜2か月前から予約が動きます。準備を当月に始めた店は毎年同じ場所で出遅れる。逆に年間カレンダーを1枚持つだけで、告知も仕込みも人員も前倒しで読めます。狙うのは「その月の売上」ではなく「1年の山と谷をならすこと」です。
この記事では、飲食店の販促カレンダーと年間計画を「自分の店の繁閑に合わせて組む」考え方を、名古屋で17店舗を運営してきた現場の実感を交えてお伝えします。あなたの店の1年を自分で設計できる状態を目指します。
今日のおさらい:要点3つ
- まず自店の12か月を「繁忙・普通・閑散」で色分けする。打ち手は閑散月に厚く置く
- イベントは当日から逆算する。告知は2〜3週間前、仕込み・予約受付はさらに前倒しで先に置く
- カレンダーは作って終わりにしない。実績を書き込み、翌年は「効いた施策」だけ残して更新する
この記事の結論
一言で言うと、販促カレンダーは「販促の予定表」ではなく「先回りするための地図」です。最も重要なのは、施策の実行日ではなく着手日を書くこと。当日を書いた店は毎年出遅れ、着手日を書いた店は毎年間に合う。順番はいつも、逆算が先です。
「思いついたらやる」販促が、毎年同じ場所で空回りする理由
月が変わってから慌ててチラシの文面を考えはじめる
11月の終わり、予約表を見ながら「そろそろ忘年会の告知、出さないと」とつぶやく。去年のPOPを探すが見つからず、結局似たものを作り直す。よくあるのが、この「毎年ゼロから作り直している」状態です。歓送迎会もクリスマスも母の日も、来ることは1年前からわかっているのに、着手はいつも直前になっています。
正直なところ、販促そのものより「いつ始めるか」の管理ができていないだけ、という店は多いです。歳時記のイベントは日付が決まっているのだから、告知も仕込みも予定に落とせるはず。ここを頭の中だけで回すと、忙しい月ほど準備が後手に回り、暇な月は何もしないまま過ぎていく。打ち手の総量ではなく、置く場所とタイミングがずれているのが本当の問題です。
繁忙月に頑張り、閑散月に何もしないという逆転
ここが多くの店のつまずきどころです。12月のように放っておいても客が来る月に販促を厚くし、2月や8月のように客足が落ちる月に何も打たない。これでは1年の山と谷がそのまま残ります。本来、販促のカロリーを注ぐべきは閑散月のほう。総務省の家計調査でも外食支出には季節の波があり、年明けの1〜2月は財布が固くなりやすい時期です。放置すれば谷は深いままです。
さらに厄介なのは、閑散月でも固定費はそのままかかる点です。家賃も人件費も客が少ない月に出ていく。中小企業庁の資料でも、販促は繁閑をならす視点で計画的に使うべきものとして触れられていますが、現場で最も抜けやすいのがこの「谷を埋める発想」です。
実体験①:行き当たりばったりをやめ「1枚のカレンダー」に変えた店
当社が運営に関わった居酒屋業態で、以前は販促を店長の記憶頼りで回していました。結果、12月の忘年会告知が11月末にずれ込み、幹事需要のピークに間に合わず、近隣の競合に予約を先に取られる年が続いた。売上を追うと、12月は満席でも、その手前の11月と年明け1〜2月がまるまる谷になっていました。
そこで、A3用紙1枚に12か月を並べ、繁忙・普通・閑散を3色で塗り、イベントの着手日を書き込む形に変えました。忘年会は10月に告知素材を準備し11月頭から受付開始、閑散の2月には「常連向けの平日限定コース」を先に組む。翌年、11月の予約が前年比で約2割増え、2月の落ち込みも前年より1割弱ゆるやかに。やったことは派手な施策ではなく、「いつ始めるか」を紙に固定しただけです。ケースによりますが、カレンダー1枚の効果は、新しい販促を1つ足すより大きいことがあります。
年間カレンダーの組み立て方と、逆算の基本
まず「繁閑の色分け」、次に「歳時記」、最後に「自店の記念日」
組む順番があります。最初に、過去の売上を月別に並べ、繁忙・普通・閑散の3色で塗る。次に、歓送迎会・母の日・お盆・クリスマス・忘年会といった歳時記を置く。最後に、周年や店独自の記念日を足す。この順で組むと、「谷の月に歳時記が無ければ自作の企画を入れる」という判断が自然にできます。実は、いきなりイベントから埋める店が多いのですが、それだと繁忙月ばかり厚くなりがちです。
色分けは感覚ではなく数字で。昨年の月別売上や客数を並べるだけで、自店の谷がどこかは一目でわかります。谷が2月と8月なら、そこに「バレンタイン限定」「真夏の冷やしメニュー+昼飲み」など、来店動機になる企画を先に予約しておく。繁忙月は新規施策より「予約の取りこぼし防止」と「オペレーションを崩さない」ことに軸を置くのが正解です。
実行日ではなく「着手日」を書く。告知・仕込みは前倒しで置く
カレンダーに書くのは、イベント当日だけではありません。当日から逆算して、告知開始日・予約受付開始日・仕込み発注日を先に置きます。目安として、告知はSNSや店頭POPで最低2〜3週間前から、コース予約が絡むものは1〜2か月前から。クリスマスや忘年会のように予約が命の企画は、ライバルより1週間早く受付を開くだけで取り込みが変わります。当日を書くのではなく、着手日を書く。これが逆算の核です。
仕込みや発注も同じで、季節限定メニューは食材の手配リードタイムを見て繁忙期の前に固めておく。当月に慌てて動くと、食材が間に合わず値段も高くつきます。前倒しで置けば、仕入れ交渉の余地も生まれるはずです。
実体験②と現場の声:閑散月の谷を「事前予約の企画」で埋めた
あるベーカリーカフェ業態で、毎年2月の売上が年間で最も落ちていました。そこで前年の11月時点でカレンダーに「2月=いちごフェア」を書き込み、1月から事前予約とSNS告知を先に走らせました。現場ではこんな会話が生まれています。
スタッフ「2月は毎年ちょっと暇でしたよね。今年はいちごフェア、もう告知始めていいですか」
店長「うん、1月半ばから店頭POPとインスタで。予約受付も早めに開けよう」
スタッフ「じゃあ仕込みのいちご、卸さんに今のうち量を伝えておきます」
この「前もって置いた」だけで、翌年の2月は前年同月比で客数が約15%増え、年間一番の谷だった月が普通の月に近づきました。仕込みも事前に量を伝えていたので欠品もロスも出ていません。閑散月は「何もしない月」ではなく「先に手を打つ月」。カレンダーがあると、その先回りが自然に回りはじめます。
よくある失敗と、その防ぎ方
失敗①:カレンダーを「イベントの実行日」だけで埋める
クリスマス、忘年会、母の日と当日だけを書き込んで満足するパターンです。当日を書いても、着手が間に合わなければ意味がありません。防ぎ方はシンプルで、1件ごとに「告知日・受付日・仕込み日」を必ずセットで書く。当日の3〜4週間手前に印を置くだけで、毎年の出遅れが消えます。書くべきは実行日ではなく着手日です。
失敗②:繁忙月ばかり厚く、閑散月が空白のまま
放っておいても客が来る月に企画を集め、暇な月を放置する。これでは年間の谷は埋まりません。判断基準は「谷の月にこそ1つ企画を入れられているか」。繁忙月は取りこぼし防止に徹し、販促のカロリーは閑散月へ回す。色分けを数字でやっておけば、どこが空白かは一目で見え、手を打つ場所を間違えません。
失敗③:作りっぱなしで振り返らない
一度作って壁に貼り、翌年また見ない。これでは精度が上がりません。各施策の横に「予約数」「売上」「手応え」を一言でも書き込み、翌年は効いた施策だけ残して弱かったものを差し替える。この更新を毎年回すと、3年目にはかなり自店に合った1枚になります。カレンダーは完成品ではなく、育てる道具です。
こういう店は、今すぐ年間カレンダーを1枚作るべき
もし今、来月の販促を「まだ何も決めていない」なら、その場しのぎが常態化しているサインです。毎年同じイベントで出遅れ、暇な月をただ耐えているなら、足りないのは新しい施策ではなく、1年を一望する地図のほうかもしれません。
難しく考える必要はありません。紙1枚に12か月を並べ、去年の売上で繁閑を3色に塗り、決まっている歳時記を置く。あとは各イベントの着手日を手前に書き込むだけです。まずは直近3か月分だけでも先回りで埋めてみてください。それだけで、来月からの動きが「慌てる」から「間に合う」に変わります。
よくある質問
Q1. 販促カレンダーは何から作ればいいですか?
A1. まず昨年の月別売上を並べ、繁忙・普通・閑散の3色で塗ることからです。歳時記やイベントを置くのはその後。谷の月がどこかを先に見えるようにすれば、手を打つ場所を間違えません。順番は繁閑の色分けが最初です。
Q2. 告知はどれくらい前から始めるべきですか?
A2. 通常の企画で最低2〜3週間前、コース予約が絡む忘年会やクリスマスは1〜2か月前が目安です。予約が命のイベントは、ライバルより1週間早く受付を開くだけで取り込みが変わります。当日から逆算して着手日を決めてください。
Q3. 閑散月には何を入れればいいですか?
A3. 来店動機になる限定企画が有効です。2月ならバレンタインやいちご、8月なら冷やしメニューや昼飲みなど、季節と結びつけると告知しやすい。歳時記が無い月は自店の記念日や常連向け企画で埋めます。谷の月こそ販促を厚くします。
Q4. 繁忙月は逆に何をすればいいですか?
A4. 新しい集客より「取りこぼし防止」と「品質維持」が優先です。予約導線を整え、オペレーションが崩れない範囲で受ける。忙しい月に無理な販促を重ねると、初来店の印象を落とします。繁忙月は守り、閑散月で攻めるのが基本です。
Q5. カレンダーは紙とアプリ、どちらがいいですか?
A5. 続けられるほうで構いませんが、最初は1年を一望できる紙1枚をおすすめします。全体の山と谷が見えることが大事だからです。運用に慣れたら共有カレンダーやスプレッドシートに移すと、スタッフとも共有しやすくなります。
Q6. 仕込みや発注はいつ計画に入れますか?
A6. 告知日と一緒に、食材のリードタイムを見て前倒しで置きます。季節限定は繁忙期の前に手配を固めると、欠品も高値づかみも防げます。当月に慌てて動くほど選択肢が減るので、発注日もカレンダーに書き込んでください。
Q7. 施策が多すぎて現場が回りません。どうすれば?
A7. 数を絞り、効いた施策だけ残すのが正解です。実績を横に書き込み、手応えの薄いものは翌年やめる。カレンダーは足すためでなく、やめる判断のためにもあります。まずは月1つ、無理のない企画から始めてください。
Q8. 毎年同じ内容の繰り返しでも大丈夫ですか?
A8. 効いている定番はむしろ残すべきです。ただし実績を見て、反応の落ちたものは中身を少し変える。骨格は同じでも、限定メニューや告知の切り口を毎年更新すれば飽きられません。全部を作り直す必要はなく、差し替えで十分です。
まとめ
販促で慌てる店と間に合う店の差は、施策の数ではなく「1年を先に見ているかどうか」です。自店の繁閑を3色で塗り、歳時記を置き、各イベントの着手日を手前に書く。閑散月にこそ厚く手を打ち、繁忙月は取りこぼしを防ぐ。この設計があるだけで、同じ手間でも1年の山と谷はならされていきます。
まずは紙1枚に12か月を並べ、去年の売上で繁閑を塗ることから始めてください。当日ではなく着手日を書く。効いた施策を翌年に残す。この積み重ねが、行き当たりばったりの販促を「毎年間に合う仕組み」に変えていきます。
名古屋の飲食店選びを、ブランド思想から考える
飲食店の成功は、料理や立地だけで決まるものではありません。どのような価値を届け、誰に選ばれる店を目指すのかという「ブランド思想」も、来店後の満足度を左右します。
名古屋の飲食店ブランドが大切にしている考え方と、店選びの基準を整理したい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
👉名古屋の飲食店ブランドとは何か|店選びの満足度を左右する「ブランド思想」の構造整理
名古屋での店選びや料理ジャンルの違い、飲食店が生み出す体験価値について、テーマ別に詳しく紹介しています。飲食業界でのキャリアや、ブランドづくり・店舗経営の判断軸を知りたい方も、以下のカテゴリーから気になるテーマをご覧ください。
👉名古屋グルメ判断
👉飲食のジャンル理解
👉飲食店の体験と価値
👉飲食キャリア
👉飲食ブランド経営判断
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
🍽 株式会社Somewhere
私たちは「もう一度行きたくなる価値ある飲食店」を目指し、
料理・サービス・空間、そしてそのお店でしか味わえない体験を大切にしています。
📍 本社所在地
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄三丁目25番43号
瑞穂ビル3階
📞 電話番号
052-253-7270
🏪 直営店
全国17店舗(2025年1月現在)
🔎 店舗一覧はこちら
https://somewhereltd.jp/restaurant/
お近くの店舗へぜひお気軽にお立ち寄りください。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━


