飲食店のBGMに著作権料は必要?手続きと費用の目安
店のBGM、そのまま流して大丈夫?飲食店の著作権と手続きの実際
【先に整理しておきたい要点】
飲食店で音楽を流すなら、著作権の手続きは必要です。サブスクの個人プランをそのまま店内で流すのは、規約違反になります。理由は単純で、個人向けサービスは家庭内での利用を前提にしているからです。手続きの選択肢は3つ。業務用の配信サービスを使う、JASRACなどの管理団体に申請する、著作権フリーの音源を使う。この3つから選ぶだけです。
よくあるのが、「小さい店だから大丈夫」「有線じゃないから関係ない」という思い込み。残念ながら、店の規模や再生方法で義務が消えることはありません。一方で、手続きは思われているほど高額でもありません。月数百円から千円台で済むケースも多く、知らずに放置するほうが損をしています。
この記事では、何が必要で何が不要なのか、費用はどのくらいか、どの方法が自店に合うのかを整理します。読み終えたときに「自店は今の流し方で問題ないか」を判断できる状態にします。
覚えておきたい3点
- サブスクの個人プランを店内BGMに使うのは規約違反。業務用プランか管理団体への申請が必要
- 費用は店の面積と営業時間で決まる。小規模店なら月1,000円台から、という水準が目安
- 業務用の配信サービスを使えば著作権使用料が料金に含まれる形が一般的で、手続きの手間が最も少ない
一言で言うと
最も重要なのは、「誰が著作権使用料を払っているか」をはっきりさせることです。業務用サービスを契約すれば、サービス側がまとめて処理します。自分で音源を流すなら、自分で申請する。この2択です。曖昧な第三の道はありません。
「指摘されるまで気づかなかった」が一番多い
レジ横のスマホから流れている曲
開店準備のとき、スタッフが自分のスマホをスピーカーにつないで音楽を流す。サブスクのプレイリストが便利だから、誰も疑わない。店長も「いい感じの曲だね」で終わる。この風景、飲食店ではごく普通に見られます。そして、ほぼ全てが規約違反です。
正直なところ、いきなり罰金という話にはなりません。ただ、管理団体から利用の確認が届くことはあります。そのとき「知らなかった」では、過去分の支払いを求められる場合がある。しかも金額より、スタッフに「ルールを守らない店」と見られることのほうが痛い。身だしなみや衛生のルールを守らせる立場として、整合が取れなくなります。
数字で見る:手続きの費用はいくらか
JASRACの飲食店向けの使用料は、店舗面積と営業形態で区分されています。小規模な店なら月額1,000円台から、という水準が示されています。年額にして2万円前後。これはビール樽1本分ほどの金額です。
業務用の配信サービスを使う場合は、月額2,000円〜4,000円程度の例が多く、ここに著作権処理が含まれます。自分でプレイリストを作る手間も省け、店の雰囲気に合うチャンネルが選べる。仮に月3,000円なら年36,000円。ケースによりますが、手間を考えると割安だと感じる経営者は多いです。
よくある失敗:管理団体が1つだと思っている
日本の音楽著作権は、JASRACのほかにNexToneという管理団体もあります。曲によって管理先が違うため、片方だけ手続きしても漏れる場合があります。実は、ここが自力申請の一番面倒なところ。業務用サービスを使えば両方まとめて処理される形が一般的で、この手間が消えます。
もう一つの落とし穴が、演奏と録音の区別です。CDやデータを流すのは録音物の再生、生演奏やカラオケは別の扱いになります。ライブイベントを月1回でもやる店は、そのぶんの手続きが別に必要になることがあります。やる前に確認してください。
選択肢を3つ、公平に比べる
①業務用の配信サービスを使う
手間が最も少ない方法です。著作権処理が料金に含まれ、季節や時間帯に合うチャンネルが用意されている。欠点は、好きな曲を自由に選べない場合があること。そして月額が継続的にかかります。店の雰囲気を音で作りたい業態には、むしろ向いています。
②管理団体に直接申請する
自分で持っている音源や、サブスクの業務用プランを使う場合に取る道です。費用を抑えられる可能性があり、曲の自由度は高い。欠点は、複数の管理団体への手続きが必要になり、面積や営業時間の区分を自分で確認する必要があること。年に一度の更新も自分で管理します。
③著作権フリー・ロイヤリティフリーの音源を使う
使用料が不要な音源を使う方法です。コストは最小。ただし、品質と曲数に幅があり、「どこかで聞いた感じ」の曲が繰り返される店になりがち。カフェやベーカリーのように滞在時間が長い業態では、客が飽きるリスクがあります。無料だから正解、とは言えません。
店の雰囲気という観点を外さない
音は、空間の一部です。照明や内装と同じように、滞在時間と客単価に影響します。実は、安く済ませることだけを考えて選ぶと、せっかくの内装が活きないことがあります。手続きの話と、どんな音を流すかの話は分けて考えたほうが、いい判断になります。
現場での会話と、確認の進め方
代理店や団体に聞くときの順番
「うちは何平方メートルで、何時から何時まで営業しています」。最初にこれを伝えると、話が一気に短くなります。区分は面積と営業時間で決まるため、この2つが出れば金額もほぼ確定します。逆にここを曖昧にすると、話が延々と続きます。
「生演奏はやりますか」。次に聞かれるのがこれ。年に数回でもやる予定があるなら、その時点で伝えておく。あとから「そのイベントは別」と言われるより、最初に含めて設計したほうが安全です。
スタッフへの伝え方
「個人のスマホで音楽を流すのは禁止」。これだけ貼っておけば十分です。理由を一言添えると定着します。「店でサービスを契約しているので、そちらを使ってください」。禁止の理由が分かると、人は守ります。理由を言わない禁止は、必ず破られます。
決める前の判断基準
①曲を自分で選びたいか
雰囲気を細かく作りたい店は、自力申請か業務用の高機能プランへ。そこにこだわりがない店は、配信サービスのチャンネル任せで十分です。ここが最初の分岐点です。
②年間の総額で比べているか
月額の差は小さく見えますが、年額にすると数万円の差が出ます。手続きの手間に自分の時給を掛けて足す。この計算をすると、意外に業務用サービスのほうが安いという結論になることが多いです。
③生演奏やイベントの予定があるか
年に1回でも予定があるなら、最初から相談しておく。あとから追加する手間と、見落としのリスクを考えると、先に伝えておくほうが得です。
④比べた人が最後に確認していたこと
複数の方法を比べた経営者が最後に見ていたのは、金額ではなく「更新と管理を誰がやるか」でした。自力申請は年1回の更新を自分で管理します。繁忙期に重なって忘れると、その時点で無手続きの状態になる。管理を外に出せるかどうかが、実務では一番大きい差です。手続きの区分や料金の最新情報は、JASRACが公開している利用料金の案内で確認するのが確実です。
よく寄せられる疑問
Q1. テレビやラジオを流すだけなら手続きは不要ですか?
A1. 放送をそのまま流す場合は、店側の手続きが不要とされる範囲があります。ただし録画して流す、特定の番組を加工するなどは別扱いです。迷う場合は管理団体に確認してください。
Q2. サブスクの個人プランではなぜだめなのですか?
A2. 利用規約が家庭内での私的利用を前提にしているためです。著作権の問題に加えて規約違反にもなります。業務用プランが用意されているサービスもあります。
Q3. 費用はどのくらいですか?
A3. 管理団体への申請なら小規模店で月1,000円台から、業務用の配信サービスなら月2,000〜4,000円程度の例が多いです。面積と営業時間で変わります。
Q4. 手続きしていないと、どうなりますか?
A4. 利用の確認や過去分の請求を受ける可能性があります。金額の多寡より、是正までの手間と信用への影響が大きいと考えてください。
Q5. 管理団体は1つで足りますか?
A5. JASRACとNexToneで管理する曲が分かれています。自力で流すなら両方の確認が必要です。業務用サービスを使えば、まとめて処理される形が一般的です。
Q6. BGMは本当に売上に関係しますか?
A6. 滞在時間とテンポに影響するという指摘は以前からあります。回転を上げたい昼とゆっくりさせたい夜で、曲の雰囲気を変える店は少なくありません。
Q7. 開店前の清掃中に流すのも対象ですか?
A7. 客がいない時間の社内利用は扱いが異なります。ただ営業時間中と地続きになりやすいので、店として契約しておくほうが整理が簡単です。
Q8. 何から始めればいいですか?
A8. 自店の面積と営業時間を書き出すことです。この2つが分かれば、どの方法でも見積りがすぐ出ます。
今週できる確認
飲食店のBGMは、業務用の配信サービス、管理団体への申請、フリー音源の3択です。サブスクの個人プランを流し続けるという選択肢だけがありません。費用は小規模店なら月1,000円台から数千円の範囲で、手続きを外に出せる業務用サービスが実務上は扱いやすい。選ぶ基準は、曲の自由度と、更新管理を誰が持つかです。
いまスタッフのスマホから音楽が流れている店、開業時から手続きを確認していない店は、12月の繁忙期を迎える前に整えておくべきタイミングです。まず自店の面積と営業時間をメモして、配信サービス2社と管理団体の料金を並べてみてください。思っていたより簡単に片付きます。
株式会社Somewhereは名古屋市中区栄を拠点に、イタリアン、ステーキ、和食、焼肉、ベーカリーなど20店舗を運営し、業態ごとに空間づくりを設計しています。料理・サービス・空間を含めた店づくりの考え方に関心のある方は、お問い合わせからご連絡ください。
名古屋の飲食店選びを、ブランド思想から考える
飲食店の成功は、料理や立地だけで決まるものではありません。どのような価値を届け、誰に選ばれる店を目指すのかという「ブランド思想」も、来店後の満足度を左右します。
名古屋の飲食店ブランドが大切にしている考え方と、店選びの基準を整理したい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
👉名古屋の飲食店ブランドとは何か|店選びの満足度を左右する「ブランド思想」の構造整理
名古屋での店選びや料理ジャンルの違い、飲食店が生み出す体験価値について、テーマ別に詳しく紹介しています。飲食業界でのキャリアや、ブランドづくり・店舗経営の判断軸を知りたい方も、以下のカテゴリーから気になるテーマをご覧ください。
👉名古屋グルメ判断
👉飲食のジャンル理解
👉飲食店の体験と価値
👉飲食キャリア
👉飲食ブランド経営判断
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
🍽 株式会社Somewhere
私たちは「もう一度行きたくなる価値ある飲食店」を目指し、
料理・サービス・空間、そしてそのお店でしか味わえない体験を大切にしています。
📍 本社所在地
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄三丁目25番43号
瑞穂ビル3階
📞 電話番号
052-253-7270
🏪 店舗
20店舗(2026年9月現在)
🔎 店舗一覧はこちら
https://somewhereltd.jp/restaurant/
💼 採用情報はこちら
https://somewhereltd.jp/recruit/
お近くの店舗へぜひお気軽にお立ち寄りください。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

