飲食店の採用面接で見るべき点は?定着する人の見極め方
飲食店の面接で見るべきポイント|早期離職しない人の見極め方
【この記事のポイント】
飲食店の面接で見るべきは、経験やスキルより「定着する人かどうか」です。早期離職の多くは入店3か月以内に起きます。ここを見抜けば採用コストは半分以下に減らせます。判断軸は3つ。時間の約束を守れるか、質問に自分の言葉で答えるか、働く理由が続く動機か。この順で確認します。
スキルは入店後に教えられます。しかし「続ける力」や「素直さ」は面接時点の姿勢に表れる。だからこそ、面接は経歴書の確認ではなく、価値観をすり合わせる場として設計すべきなんです。ここを間違えると、採用しては辞められる負のループから抜け出せません。
この記事では、当社が全国17店舗の運営で積み重ねてきた面接の実例をもとに、見極めの質問・トライアル(体験入店)の使い方・入店後3か月の定着設計までを具体的に整理します。読み終えたとき、あなたは「誰を通し、誰を見送るか」を自分の基準で判断できるはずです。
今日のおさらい:要点3つ
- 面接ではスキルより「定着シグナル」を見る。時間の約束・言葉の具体性・働く動機の3点で判断する
- 1回の面接で決めず、トライアル(体験入店)を2〜4時間はさむと早期離職が目に見えて減る
- 採用の勝負は入店後の3か月。初日の受け入れと2週間の面談で、定着率は大きく変わる
この記事の結論
一言で言うと、面接は「この人と一緒に働き続けられるか」を確かめる場です。最も重要なのは、その場のよい印象ではなく、約束を守る姿勢と自分の言葉で語れるかという2点。ここに集中すれば、早期離職はかなりの確率で防げます。
「いい人そうだったのに」が繰り返される理由
面接では笑顔だったのに、初出勤の連絡が来ない朝
採用担当をしていると、こんな朝があります。初出勤の日、開店準備をしながら何度もスマホを見る。約束の時間を10分過ぎても連絡がない。20分過ぎて、こちらから電話しても出ない。仕込みの手を止めて、他のスタッフに「今日は一人少ないままいこう」と伝える。あの面接のときの笑顔は、いったい何だったのか。
正直なところ、これは特別な失敗ではありません。飲食業界では珍しくない光景です。面接の印象がよかった人ほど、来なかったときの落差が大きい。そして多くの店長が「人を見る目がなかった」と自分を責める。でも、原因は目の良し悪しではないんです。面接で見ていた場所が、そもそもズレていただけ。
「明るくて元気」だけで採ると、なぜ外れるのか
よくあるのが、面接の評価軸が「明るい・元気・感じがいい」に偏っているケース。もちろん接客業なので、その要素は大切です。ただ、明るさは早期離職を防ぐ力とは別物。むしろ人当たりのよい人は面接慣れしていることも多く、その場の空気を読んで気持ちのいい受け答えをします。それ自体が悪いわけではないけれど、印象だけで判断すると足元をすくわれる。
厚生労働省の雇用動向調査でも、宿泊業・飲食サービス業の離職率は全産業の中でも高い水準が続いています。裏を返せば、面接の設計次第で差がつく余地が大きいということ。多くの店が印象評価で採っているからこそ、定着シグナルを見る店は採用で優位に立てます。
実体験:離職率を半分に下げた「3つの質問」への切り替え
当社の焼肉業態のある店舗では、以前アルバイトの3か月以内離職が続き、一時は採用した人の約4割が定着しませんでした。募集広告費だけで月に数万円が消え、教えたそばから辞めていく。現場は疲弊していました。
そこで面接のやり方を変えました。「志望動機は?」といった定番質問をやめ、(1)前の職場やバイトを辞めた理由、(2)通勤にかかる時間と入れる曜日の具体、(3)半年後にどうなっていたいか、の3つを必ず自分の言葉で語ってもらう形に。答えの内容より「具体的に語れるか」を見るようにしたんです。結果、半年後には3か月以内離職が約4割から2割弱まで下がりました。数字が動いたのは、面接で見る場所を変えただけ。特別なことは何もしていません。
定着する人を見極める、面接の基本の型
見るべきは「時間・言葉・動機」の3点
面接で確認する軸を、私はシンプルに3つに絞っています。ひとつ目は時間の約束。面接に時間通り来たか、遅れるなら事前連絡があったか。これは働き始めてからのシフト遵守にそのまま直結します。ふたつ目は言葉の具体性。「なんとなく」「楽しそうだから」で止まる人より、自分の経験を具体的に話せる人のほうが続きやすい。みっつ目は働く動機が続くものか。学費のため、生活のため、といった動機は途切れにくい。
ケースによりますが、この3点がそろっていれば、多少スキルが不安でも通す価値があります。逆に印象は満点でも、時間にルーズで話が抽象的なら、私は一度立ち止まります。
実体験:トライアル(体験入店)を挟んだら、ミスマッチが激減した
当社のベーカリーカフェ業態では、面接だけで決めるのをやめ、2〜4時間の体験入店を挟むようにしました。実際に開店前の清掃やドリンク補充を一緒にやってもらい、店の忙しさや雰囲気を体感してもらう。時給は発生させます。ここで「思っていたよりハード」と感じた応募者は、この段階で辞退する。お互いにとって、これが一番傷の浅い別れ方なんです。
導入後、入店してから1か月以内で「イメージと違った」と辞めるケースがほぼゼロになりました。面接という短い会話だけでは、店のリアルは伝わらない。実は、応募者側も「入ってみないと分からない不安」を抱えています。体験入店はその不安を、入店前に解消する仕組みでもある。
現場の声:面接での「小さな違和感」は当たる
ある店長とこんな会話をしたことがあります。
店長「面接のとき、なんか引っかかったんですよね。でもスキルはあるし、人手も足りないから通しちゃって」
私「その引っかかり、どんな感じでした?」
店長「質問への答えが、全部ふわっとしてて。目も合わなくて。案の定、2週間で来なくなりました」
人手不足のときほど、この違和感を握りつぶしたくなる。気持ちはよく分かります。ただ、無理に採って早期離職されると、教育の時間も募集費もまるごと失う。急がば回れ、というのは採用にこそ当てはまる言葉だと思います。
よくある面接の失敗と、その防ぎ方
失敗①:店側が一方的に話しすぎる
人手が欲しいあまり、店の魅力ばかりを店側が語ってしまう面接。これだと応募者の素の姿がまったく見えません。目安は「応募者7:店側3」。質問を投げたら、沈黙が続いても先に埋めない。考えて言葉を探す姿こそ見たい部分です。話させることで、時間の約束や言葉の具体性も自然と確認できます。
失敗②:条件のすり合わせを後回しにする
入れる曜日・時間帯・希望時給を面接の場で具体化しないと、入店後に「土日は入れません」となって現場が回らなくなる。ここは気まずくても、その場で数字にして確認します。週に何日・何時から何時まで・繁忙期はどうか。ここを曖昧にしたまま採ると、シフトの穴という別の問題を抱え込むことになる。
判断基準:他店と比較して選ばれる面接にする
忘れがちですが、面接は店が応募者を選ぶ場であると同時に、応募者が店を選ぶ場でもあります。とくに良い人材は複数の店を受けている。だから、こちらの見極めと同じくらい、相手に「ここで働きたい」と思ってもらう姿勢が要る。他店と比較されている前提で、質問には誠実に答え、働き方の実態を隠さず伝える。公平にデメリットも話す店のほうが、結果的に信頼されて選ばれます。落とすことばかり考えると、良い人ほど逃げていく。
こういう店は、今すぐ面接のやり方を見直すべき
もし今、採用した人の3割以上が3か月以内に辞めているなら、それは応募者の質の問題ではなく、面接の設計の問題である可能性が高いです。印象評価に頼っていないか、条件を曖昧にしたまま採っていないか、一度立ち止まって振り返ってみてください。
やることはシンプルです。質問を3つに絞り、体験入店を挟み、入店後2週間で一度面談する。この3つを仕組みにするだけで、来月からの採用は変わり始めます。完璧を目指さなくていい。まずは次の面接から、質問を「辞めた理由」「入れる曜日」「半年後の姿」に変えてみる。その一歩で十分です。
よくある質問
Q1. 面接で最初に見るべきポイントは何ですか?
A1. まずは時間の約束です。面接に時間通り来たか、遅れる際に連絡があったか。これはシフト遵守に直結し、早期離職の予兆を最も端的に示します。
Q2. 未経験者は採用しない方が安全ですか?
A2. いいえ。スキルは入店後に教えられます。当社でも戦力の多くは未経験スタート。経験より、素直さと続ける動機があるかを重視した方が定着します。
Q3. 体験入店(トライアル)は必ず必要ですか?
A3. 必須ではありませんが、2〜4時間でも挟むと入店後のミスマッチが大きく減ります。時給は発生させ、お互いに納得してから本採用に進むのが理想です。
Q4. 志望動機はどこまで重視すべきですか?
A4. 内容より「自分の言葉で具体的に語れるか」を見ます。生活費や学費のためといった現実的な動機は、むしろ途切れにくく定着につながります。
Q5. 面接時間はどれくらいが適切ですか?
A5. アルバイトなら20〜30分が目安です。短すぎると見極めきれず、長すぎると応募者が構えます。話す比率は応募者7:店側3を意識してください。
Q6. 人手不足でも見送るべき応募者はいますか?
A6. あります。時間にルーズで話が終始抽象的な人は、採っても2週間前後で離れる例が多い。無理に採ると教育コストと募集費を二重に失います。
Q7. 採用後、定着させるコツはありますか?
A7. 勝負は入店後3か月です。初日の受け入れを丁寧にし、2週間目に一度面談して不安を聞く。この2つだけで早期離職はかなり防げます。
Q8. 面接で聞いてはいけないことはありますか?
A8. 本籍・家族の職業・思想信条など、業務と無関係な事項は避けます。厚生労働省も公正な採用選考を求めており、判断は業務適性に絞るのが原則です。
まとめ
飲食店の面接で見るべきは、スキルや第一印象ではなく「定着する人かどうか」です。時間の約束を守れるか、質問に自分の言葉で答えるか、働く動機が続くものか。この3点にしぼって見れば、早期離職はかなりの確率で防げます。印象評価から定着シグナルへ、見る場所を変えるだけでいい。
そして採用の本当の勝負は、面接ではなく入店後の3か月にあります。体験入店で入店前の不安を減らし、初日と2週間目を丁寧に設計する。この積み重ねが、辞めない店をつくります。次の面接から、質問を3つに絞ることから始めてみてください。小さな一歩が、来月の採用を確実に変えていきます。
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